日本の歴史と趣を感じられる古民家。
その風合いを残しながら快適な暮らしを実現するためには、外壁のリフォームも避けては通れません。
古民家に使われている外壁材は現代の家とは異なるため、配慮や技術が求められます。そこで気になるのが費用相場です。古民家特有の構造や素材を活かした工事となると、一体どのくらいの費用がかかるのでしょうか?
この記事では、古民家の外壁リフォームにかかる費用相場について詳しく解説していきます。
古民家の外壁リフォームにかかる費用相場は?

古民家の外壁リフォームの費用相場は、建物の状態や施工方法、使用する外壁材などによって大きく異なります。一般的な目安として、外壁リフォームの費用は約5,000~50,000円/㎡とされています。具体的な施工方法別の費用相場は以下の通りです。
塗り替え 約20万円~50万円
既存の外壁に新たな塗装を施す方法です。防水性や断熱性の向上が期待できますが、外壁の劣化が進んでいる場合は十分な効果が得られない可能性があります。
張り替え 約50万円~200万円
既存の外壁を撤去し、新しい外壁材に交換する方法です。劣化した部分を全て撤去できるため、見た目の改善や耐久性の向上が期待できますが、費用は高くなってしまいます。
重ね張り(カバー工法) 約30万円~150万円
既存の外壁材の上から新しい外壁材を貼る方法です。断熱性や遮音性の向上が期待できますが、外壁の重量が増すため耐震性に影響を及ぼす可能性があります。
古民家の外壁リフォームの方法とは?

古民家の外壁リフォームは、建物の状態や目的に応じて適切な方法を選ぶことが大切です。主なリフォーム方法には「塗り替え」「張り替え」「重ね張り(カバー工法)」の3つが挙げられます。それぞれの特徴を理解し、最適な方法を選びましょう。
塗り替え
塗り替えは、既存の外壁の上に新たな塗装を施す方法です。
古民家の見た目を損なわずに、外壁の保護や美観の向上を図ることができます。使用する塗料によっては防水性や断熱性の向上も期待でき、建物の寿命を延ばすことが可能です。
費用を比較的抑えられる方法ではありますが、ひび割れや下地の劣化が進行している場合、塗り替えだけでは十分な修復ができない可能性があるため注意が必要です。
張り替え
張り替えは、現在の外壁材をすべて撤去し、新しい外壁材に交換する本格的なリフォーム方法です。古民家の外壁が著しく劣化している場合や、内部構造の補修も必要になる場合に選ばれることが多いです。徹底的に修復することができるので、見た目の改善はもちろんのこと耐久性も大きく改善できます。
リフォームの際に断熱材の追加や構造体の補強も同時に行えるため、性能面でのメリットは大きいですが、塗り替えと比較すると工事の規模は格段に大きくなり、費用や工期もかかります。
重ね張り(カバー工法)
重ね張り(カバー工法)は、既存の外壁材を撤去せず、その上に新しい外壁材を重ねて施工する方法です。外壁の解体作業が不要なため、工期が短く廃材処理費などのコストも抑えられます。
外壁材を重ねて施工することで耐熱性や遮音性が高まり、省エネ効果にも繋がります。ただし、外壁の重量が増すため、建物の構造や耐震性への影響を考慮する必要があります。そのため、重ね張りを採用する際は、リフォーム業者としっかり相談することが欠かせません。
古民家の外壁リフォームでよく使われている外壁材とは?
古民家の外壁リフォームでは、建物の風合いや耐久性、地域の気候状況などを考慮して適切な外壁材を選ぶことが大切です。以下では、特に人気のある3つの外壁材をご紹介します。
1. 漆喰
漆喰は、古民家の外壁に伝統的に使用されてきた自然素材の外壁材です。消石灰を主成分とし、防火性・防水性・調湿性に優れており、室内環境を快適に保つ効果があります。マットな質感で高級感のある仕上がりが特徴的で、古民家の風合いを損なわずにリフォームできます。
定期的なメンテナンスは必要になりますが、自然素材ならではの風合いを楽しみたい方におすすめです。外壁だけでなく室内の壁や天井などに使用されることもあります。
2. 杉板
杉板は、古民家の板張り外壁によく使われる木材です。軽量で加工しやすく、断熱性や調湿性に優れています。特に「下見板張り」という施工方法では、板を重ねて張ることで雨水の侵入を防ぎ、耐久性を高めることが可能です。また、自然素材ならではの温かみや風合いがあり、古民家の雰囲気を大切にしたい方に適しています。
ただし、木材のため定期的なメンテナンスが必要になります。塗装や防腐処理を施すことで長持ちさせることができるでしょう。
3. ガルバリウム鋼板
ガルバリウム鋼板は、耐久性と軽量性を兼ね備えた金属製の外壁材です。サビに強く、耐用年数が長いため、メンテナンスの手間を軽減できます。また、モダンなデザインにも対応できるため、古民家の外観を現代風にアレンジしたい場合にも適しています。
ただし、沿岸部など塩害の影響を受けやすい地域では注意が必要です。また、金属特有の質感が古民家の外観と調和しにくい場合があるため、デザイン面で検討する必要もあるでしょう。
古民家の外壁リフォームを行う上での注意点について

古民家の外壁リフォームを成功させるためには、建物の特性や状態を正確に把握しておくことが大切です。以下では、古民家の外壁リフォームを行う上で、特に注意すべき3つのポイントをご紹介します。
1. 古民家リフォームの経験が豊富な業者を選ぶ
古民家は築年数が長く独自の構造や伝統技法が使われているため、通常の住宅とは異なる専門性が必要です。そのためリフォームを依頼する際は、古民家のリフォーム経験が豊富な業者を選ぶことが大切です。
特に、木材や土壁、漆喰などの伝統的な素材に対応できる知識と技術を持った業者であれば、外観の風合いを損なわず、耐久性の高い施工が期待できます。業者を選ぶ際には、過去の施工事例や利用者の評価もあわせてチェックしておきましょう。
2. DIYではなく業者に依頼する
古民家の外壁リフォームは、足場の設置や高所作業、劣化部分の補修など、専門的な作業がいくつもあります。見た目だけで判断できない腐食や構造的な問題を見逃すリスクも高く、素人のDIYでは安全面・施工品質の両面で不安が残ります。
特に、古い木造建築は慎重な扱いが求められるため、施工ミスによって二次被害が起きる可能性も考えられます。これらのことから、DIYではなく専門知識と実績を持った業者に依頼することが推奨されています。
3. 外壁の劣化状況に応じて工法を選ぶ
古民家の外壁は、長年の雨風や紫外線、湿気の影響でさまざまな劣化が進んでいます。外見だけでは判断できない内部の腐食や断熱材の劣化、構造部分の歪みなどが隠れていることも珍しくありません。
そのため、外壁の塗り替えだけでなく、張り替えや重ね張り(カバー工法)など、状態に合わせた適切な工法を選ぶことが大切です。事前に建物の状態を業者に診断してもらい、最適なリフォーム方法を教えてもらいましょう。
まとめ
今回は、古民家の外壁リフォームにかかる費用相場について解説してきました。
古民家の外壁リフォームには、建物の状態や目的に応じた施工方法と外壁材を選ぶ必要があります。
外壁リフォームの種類には、既存の外壁の上に新たな塗装を施す「塗り替え」、既存の外壁を撤去して新しい外壁材に交換する「張り替え」、既存の外壁材の上に新しい外壁材を重ねる「重ね張り」などの工法があり、費用相場は約5,000~50,000円/㎡と幅があります。使用される外壁材は、漆喰・杉板・ガルバリウム鋼板などがあります。
また、古民家リフォームを成功させるためには、DIYではなく古民家リフォームの経験が豊富な業者に依頼し、劣化状況に応じて工法を選ぶことが大切です。