室内リフォームを考えるとき、デザインやレイアウトと並んで気になるのが「この仕上がり、何年持つんだろう?」という疑問です。見た目や使い勝手が良くなるのは嬉しいけれど、すぐに劣化してしまうのでは意味がありません。
せっかくお金をかけて空間を整えるのなら、長く安心して使えるようにしたいですよね。実際、工事の種類によっては10年単位で差が出ることもあるようです。
この記事では、室内リフォームの耐用年数について詳しく解説していきます。
内装リフォームの耐用年数はどれくらい?
リフォームでは「どれくらい持つのか」が大切になります。
用途や構造によって大きく差があるため、以下では3つのポイントに分けて、具体的な目安をご紹介します。
1. 内部造作物
内部造作物とは、建物内部に恒久的に取り付けられる構造部分(ドア・カウンターなど)のことを指し、その建物の構造や使用目的に応じて耐用年数の目安が異なります。
例えば、鉄筋コンクリート造の建物を事務所として使用する場合は50年程度ですが、飲食店として使用する場合は34年とされています。木造の住宅用であれば、22年が目安です。
一般的に公共性が高く使用頻度の多い用途ほどやや短めの耐用年数が設けられる傾向にあります。
2. 内装工事
内装工事に含まれるのは、床材や壁面材・天井材・照明器具など、日常的に目に触れる部分で、これら素材ごとに耐用年数が設けられています。
例えば、床材は約15年、壁面材・天井材は10年程度ですが、素材やメンテナンス次第で30年以上使用し続けられるものもあります。
照明器具はLED化が進んでいるため、現在では5~10年と長持ちする製品も多くなっています。
3. 内装電気工事
内装電気工事では、コンセント・スイッチ・照明配線・換気扇・インターホンなどの設置・配線工事が含まれます。
これらは見えにくい部分でありながら、老朽化すると故障のリスクがあるため、定期的な点検が求められます。
一般的に、配線類の耐用年数は15~20年、スイッチやコンセントは10年、インターホンやセンサー照明などの機器類は、電子部品の寿命を考慮すると7~10年程度されています。
室内リフォームの耐用年数と減価償却の関係とは?
室内リフォームでは、工事内容だけでなく「それが何年持つのか」「税務上どのように処理できるのか」という点も重要です。
ここで関わってくるのが「耐用年数」と「減価償却」の関係です。内装工事が資産価値を向上させる内容であり、かつ費用が一定額を超える場合、それは単なる支出ではなく資産とみなされ、減価償却の対象になります。
例えば、壁を撤去して間取りを変更したり、断熱材を入れて性能を高めるような工事は、費用を複数年にわたって分割して計上する必要があります。
この際に基準となるのが「耐用年数」です。建物の構造や用途によってこの年数は異なり、鉄筋コンクリート造の住宅であれば約40~50年、木造の住宅であれば約20年が目安です。さらに、照明器具や換気扇といった設備は、それぞれに設定された短めの耐用年数が用いられます。
このように、室内リフォームは見た目の変化や機能向上だけでなく、長期的な税務処理の観点からも、耐用年数との関係を踏まえた計画が求められます。
法人や投資用物件の場合は、減価償却をどのように組み立てるかによって、キャッシュフローや節税効果にも大きく影響するため注意が必要です。
室内リフォームにおける減価償却の注意点について
室内リフォームを行う際には、単なる支出なのか資産として扱うべきかの判断が重要です。この違いによって会計処理や税務上の取り扱いが大きく変わるため注意が必要です。
修繕費か資本的支出かの判別
リフォーム費用は軽微な補修や原状回復(クロス張替え・塗装など)であれば「修繕費」として、その年度に一括経費処理できます。ただし、間取り変更や断熱性向上など資産的価値が向上する工事や、20万円以上の大規模な投資は「資本的支出」となり、資産計上し耐用年数にわたって減価償却が必要になります。
この区分を誤ると税務調査で指摘されるリスクがあります。
耐用年数の使い分けと建物所有形態の違い
減価償却では「耐用年数」に基づき、費用を複数年に分けて計上することになりますが、この年数の判断は建物の構造や所有形態によって変動します。新築の場合、鉄筋コンクリート造であれば50年、木造は22年など、法律で定められた法定耐用年数に従います。
一方、中古物件の場合は、「法定耐用年数から経過年数を引いた残り」と、経過年数の20%を加味した特例計算が用いられます。また、賃貸物件では、賃貸借契約の残存期間や、実際の使用予定期間を合理的に見積もって独自に耐用年数を設定することも可能です。
工事内容による勘定科目の設定と区分処理
室内リフォームでは、工事内容に応じて会計上の「勘定科目」を正しく分類し、それぞれに適した処理を行うことが求められます。
例えば、照明器具や換気扇などの設備は「建物付属設備」として扱われます。一方、床材や天井などは「建物」に含まれ、建物本体の耐用年数が適用されることになります。また、設計費や工事管理費、仮設費なども個別に計上する必要があります。
これらをすべて「一括」で処理してしまうと、耐用年数や費用配分の整合性が失われ、税務上の問題につながる可能性があります。
まとめ
今回は、室内リフォームの耐用年数について解説してきました。
室内リフォームでは、内部造作物や設備ごとに異なる耐用年数が設けられていることを把握することが大切です。鉄筋コンクリート造の建物を事務所として使用する場合は50年、飲食店として使用する場合は22年が目安となります。
また、リフォーム費用が修繕費か資産的支出かで税務処理も変わります。見た目だけでなく、法的・会計的な視点から計画を立てることで、節税や長期的な資産管理に繋がるでしょう。