リフォームを検討する際、多くの人が複数の業者に見積もりを依頼する「相見積もり」を活用します。
適正な価格を把握するうえで有効な手段であり、納得できる業者を選ぶためには欠かせないプロセスです。しかし、その一方で必ず発生するのが「断る」という行為。複数の業者に依頼すれば、当然ながら選ばなかった業者には丁寧にお断りの連絡をする必要があります。
この“断る”という行為に、少なからず気まずさや不安を感じる方も多いはずです。「失礼にあたらないか」「相手を不快にさせてしまわないか」「何と言えばいいかわからない」といった悩みは、誰しもが一度は抱えるものです。
そこで本ガイドでは、初心者の方でも安心してリフォームの相見積もり後に丁寧かつスムーズに断るための方法をわかりやすく解説します。電話・メール・対面といった具体的なシチュエーション別の例や、業者との良好な関係を保つためのマナー、さらにはキャンセル料の知識やトラブルを防ぐポイントまで網羅。この記事を読めば、迷わず自信を持って断れるようになります。
“気まずさ”が”感謝”に変わる。そんな断り方のヒントを、ぜひご活用ください。
初心者でも安心!リフォーム相見積もりの断り方とは
リフォーム相見積もりの基礎知識について
リフォームの相見積もりとは、複数のリフォーム業者に同じ条件で見積もりを依頼し、料金や工事内容、サービス対応などを比較することを指します。
これにより、適正価格を把握し、サービスの質を見極めながら納得のいく業者を選定することができます。リフォームは高額な支出になることが多く、業者によって提案内容や費用に大きな差が出るため、相見積もりを取ることで不当な金額や内容を避ける判断材料にもなります。
相見積もりを依頼するメリットとデメリット
メリット
価格の比較ができる、業者の対応を見極められる、交渉材料になる、サービス内容の違いを明確に把握できる、必要以上の工事が含まれていないか確認できる。
デメリット
業者に断りを入れる手間がかかる、比較する情報が多くて迷いやすい、対応の悪い業者とのやりとりが発生することもある、時間や手間がかかる場合がある。
リフォーム見積もりの流れと注意点
- 自分たちの要望や予算、工事内容などの希望条件を明確にする
- 複数の信頼できる業者に同じ条件で見積もりを依頼する
- 見積もり書を受け取り、工事内容・工期・費用の内訳・保証内容などを比較検討する
- 気になる点があれば業者に質問や再提案を依頼する
- 本命業者を選定し、契約の意思を伝える
- 他の業者には丁寧に断りの連絡を入れ、誠意をもって対応する
具体的な断り方:方法とマナー
電話での断り方のヒント
電話は直接的な分、誠意が伝わりやすい手段です。ただし、緊張しやすい人にとってはハードルが高く感じられるかもしれません。事前に話す内容をメモしておくことで、落ち着いて対応できます。
- 丁寧な口調を意識する(声のトーンも穏やかに)
- 感謝の気持ちを伝える(「お忙しい中ありがとうございました」など)
- 理由は簡潔に伝える(例:「他社に依頼することにしました」)
- 相手の反応にも配慮し、「また機会がありましたらよろしくお願いいたします」と添えると印象が良くなります
- 無理に細かな理由を説明しすぎると誤解を招く恐れがあるため、簡潔さを保つことが大切です
メールでの断り方例文
件名:お見積もりのお礼とご連絡
〇〇リフォーム株式会社 〇〇様
先日はお忙しい中、迅速にお見積もりをご対応いただきありがとうございました。
慎重に検討させていただいた結果、今回は別の業者様にお願いすることとなりました。
ご提案いただいた内容は非常に参考になり、感謝しております。
この度はご対応いただき誠にありがとうございました。
またご縁がございましたらよろしくお願い申し上げます。
〇〇(名前)
メールは文面に残るため、丁寧さと配慮が重要です。堅苦しくなりすぎず、感謝の気持ちを明確に伝えると好印象を与えられます。また、件名には「お礼とご連絡」などの表現を使い、開封前から誠実な意図が伝わるように工夫するとより丁寧です。
対面での断り方:失礼にならないためのコツ
- 相手の目を見て伝える(自信を持って、しかし柔らかい表情で)
- 感謝と謝意をしっかり伝える(「ご提案を丁寧にしていただき、本当にありがとうございました」)
- 無理に理由を深堀されても、比較検討の結果である旨を伝えればOK
- 緊張する場面では、あらかじめ短くまとめたフレーズを準備しておくとスムーズです
- 今後の可能性を残す言い方(「また機会があれば…」など)も、相手に誠実な印象を与えるポイントです
相見積もりをしない理由とその対処法
他社に見せることのメリットとデメリット
メリット
他社との比較で値引きやサービス向上が見込めるだけでなく、業者側も競争意識を持ち、より誠実かつ丁寧な対応を心がけてくれることがあります。また、提案内容や工事の質について新たな視点が得られることもあり、結果的に自分たちに最も合ったプランを見つけやすくなる利点があります。価格だけでなく、対応スピードや柔軟性、アフターサービスなど、総合的な判断材料にもなります。
デメリット
一方で、見積もり内容を他社に見せることに対して不快感を抱く業者も少なくありません。「他社と比べるためだけの踏み台にされた」と感じるケースや、契約の見込みが薄いと判断されると、今後の対応が雑になるリスクもあります。また、信頼関係を築きにくくなることで、良好なコミュニケーションが妨げられる恐れもあるため、見せ方や伝え方には慎重な配慮が必要です。
相見積もりを依頼しない場合の信頼関係の築き方
- 最初から1社に絞る場合は、信頼できる紹介や実績を重視し、自分たちの要望と合致するかをよく確認したうえで依頼する
- 明確な要望を伝え、コミュニケーションを密にとることで、相手に真剣な姿勢が伝わり、信頼関係が深まる
- 契約前に「他社とは比較していません」と正直に伝えるのも一つの手であり、相手に誠実さが伝わると同時に、より丁寧な提案や対応を引き出せる可能性もある
- 見積もりの段階で「この会社に任せたい」と思った理由を明確に伝えることで、業者側も安心して対応してくれる
キャンセル料について知っておくべきこと
相見積もりのキャンセル料はどのように発生するか
通常の見積もり段階では、キャンセル料が発生することはほとんどありません。これは、あくまでも「見積もりは無料」が業界の通例であり、契約前の段階では料金が発生しないことが多いためです。しかし、注意すべきは詳細な設計やプランニングに入った段階や、発注書や契約書にサインをした後です。
このような状況では、設計費や準備費、発注済みの材料費などが発生している可能性があり、それに伴ってキャンセル料が請求されることがあります。特に、大手や一部の専門業者では「設計契約」を別途結ぶケースもあり、この時点でキャンセルすると数万円〜十数万円の費用がかかることもあります。そのため、どの段階でキャンセル料が発生するのかを事前に確認しておくことが重要です。
キャンセル時のトラブルを避けるための注意点
- 契約前に必ずキャンセルポリシーを確認し、いつから費用が発生するのかを把握する
- 曖昧な口約束や口頭確認に頼らず、書面やメールなどで証拠を残しておく
- 早めに断りの意思を伝え、業者側の準備が進んでいないタイミングであれば、トラブルなく解決できる可能性が高い
- 万が一キャンセル料が発生する場合でも、冷静かつ丁寧に対応し、感情的な言い合いにならないように心がける
- 不安がある場合は、事前に内容証明郵便や弁護士への相談なども視野に入れる
失礼のない断り方:マナーを押さえる
業者との関係を保つためのコミュニケーション
- 丁寧な言葉遣いを心がける(語尾を柔らかくしたり、敬語を適切に使うことが大切)
- 次の機会があればぜひお願いしたい旨を伝える(「今回はご縁がありませんでしたが、また何かあればぜひお願いしたいです」と前向きな一言を)
- 相手の時間と労力に感謝する気持ちを忘れずに(「お忙しい中、ご対応いただきありがとうございました」など具体的な行動に対する感謝を)
- 対応してくれた担当者の印象が良かった点を伝える(「丁寧に説明していただき、非常に参考になりました」など)
- 断る際の印象が次の機会にも影響することを意識して、できるだけ誠実な対応を心がける
マナー違反を避けるための具体例
NG例
- 連絡を一切せずに放置する(「選ばなかったから関係ない」と無視するのは印象を大きく損ないます)
- 他社の名前を出して比較・批判する(例:「〇〇社はもっと安かった」など直接的な比較や否定的な発言)
- 強い口調で断る(感情的な断り方や冷たい態度は避けましょう)
- 返答の遅延が続き、催促されてようやく返す(信頼を損ねる原因になります)
まとめ
リフォームの相見積もりは、費用やサービスの比較を通じて最適な業者を選ぶための賢明な手段です。
しかし、ただ見積もりを取るだけでなく、断り方にも気を配ることが、業者との良好な関係を維持するためには非常に重要です。相手に敬意を払い、丁寧な言葉と態度で断りの意思を伝えることで、誠実な姿勢が伝わり、相手に不快な印象を与えずに済みます。
また、今後リフォームや修繕の必要が生じたときに、再びその業者に依頼したいと考える可能性もあるため、断った後も関係性を断ち切らない姿勢が大切です。メールや電話、対面など、状況に応じて適切な手段を選び、相手の労力に対する感謝を必ず伝えましょう。
初心者であっても、本記事にある具体例やマナーを参考にすれば、安心して複数の業者とやりとりし、納得のいく判断ができるはずです。リフォームは人生の中でも大きな買い物の一つ。後悔のない選択をするためにも、断り方のマナーを身につけておくことは、大きな価値を持つのです。

