近年、室内の空気環境を快適に保つ建材として注目を浴びているエコカラット。
おしゃれなデザイン性と機能性を兼ね備えており、新築やリフォームの際に導入を検討する人が増えています。
しかし、導入後に「こんなはずじゃなかった」「失敗したかも…」と後悔している人が少なからず見られます。一体、なぜ空間の快適性を高められる建材で後悔することがあるのでしょうか?
この記事では、エコカラットの導入で後悔しないためのポイントや、メリット・デメリットについて詳しく解説していきます。
リフォームでエコカラットを使用した際の後悔例
リフォームでエコカラットを導入する際、見た目や機能性に惹かれて選ぶ方も多いでしょう。しかし、実際に使用してみると予想外の問題に直面し、後悔するケースも少なくありません。以下では、特に多くの声が寄せられている後悔例をご紹介します。
キッチン周辺での油汚れが目立つ
エコカラットは調湿や脱臭機能を持ち、デザイン性も高いため、キッチンの壁材として選ばれることがあります。しかし、コンロ周辺など油が飛び散りやすい場所に施工すると、油汚れが目立ち、清潔感を損なう結果になることがあります。特に白系のカラーを選んだ場合は汚れが顕著に表れやすいです。また、エコカラットの表面は多孔質で油分が染み込みやすいため、汚れが内部に浸透してしまい、簡単には落とせなくなることもあります。
調湿効果を実感できなかった
エコカラットを導入する際に魅力に感じる一つが、室内の湿度を調整する調湿機能です。しかし、実際に導入してみると、その効果を実感できなかったという声もあります。これは、エコカラットの調湿効果を発揮するためには、一定の施工面積が必要であるためです。
例えば、リビングなど広い空間で効果を得るためには、床面積の約1/4以上の壁面積に施工することが推奨されています。狭い範囲にのみ施工した場合、期待した効果が得られず、結果として後悔することになるかもしれません。
予算を大幅に超えてしまった
エコカラットはデザイン性と機能性を兼ね備えた内装材として人気がありますが、その分コストも高めです。エコカラットの材料費と施工費を含めると、1㎡あたり約10,000円~25,000円程度になることがあります。例えばリビングの一面(約30㎡)に施工する場合、材料費と施工費を合わせて約30万円~75万円程度の費用がかかる計算です。
デザインやカラーの選択によっても価格が変動し、高級なシリーズを選ぶと1㎡あたりの単価がさらに上がることもあります。
カーテンや衣類が傷ついた
エコカラットの表面は凹凸があり、独特の質感が特徴です。しかし、この凹凸が原因で、カーテンや衣類が擦れて木津着いてしまったという声があります。窓際や通路など、布製品が壁に触れやすい場所に施工した場合、風でカーテンが揺れたり、人が通る際に衣類が擦れたりして、布地が引っかかり破れてしまうケースが見られます。
このようなトラブルを避けるためには、エコカラットを施工する場所と周囲のインテリアとの関係を十分に考慮する必要があります。
エコカラットってどんな素材?
エコカラットは、LIXILが開発した室内用の機能性壁材で、見た目の美しさと空気環境の改善を同時に実現することができます。その主成分は「多孔質セラミックス」で、無数の微細な孔(約1ナノメートル)を持ち、湿気や臭い、有害物質を吸着・放出することで、室内の空気を快適に保ちます。
最大の特徴は優れた調湿機能です。エコカラットは湿度が高い時には湿気を吸収し、乾燥しているときには湿気を放出することで、室内の湿度を快適な状態に保ちます。その調湿効果は、珪藻土の約6倍、調湿壁紙の約25倍以上とされています。
エコカラットは脱臭効果も持っており、生活臭やペット臭、タバコの臭いなどを軽減します。さらに、ホルムアルデヒドやトルエンなどの有害物質を吸着・低減する機能もあり、シックハウス症候群の予防にも役立ちます。
近年、リビング・寝室・玄関・トイレなど、さまざまな空間で使用されており、快適な住環境を実現するための選択肢として注目されています。
エコカラットのメリット・デメリット
続いては、エコカラットを導入するメリットとデメリットを見ていきましょう。メリットだけでなくデメリットも理解しておくことで、施工後に後悔する心配がありません。以下では、エコカラットのメリット・デメリットを解説します。
メリット
エコカラットの主なメリットは、室内の湿度を自動的に調整できる効果を持っていることです。湿度が高いときには水分を吸収し、乾燥しているときには放出することで、年中快適な空気環境を保ちます。
また、さまざまな臭いの原因物質を吸収して軽減する機能も魅力的です。臭いの気になる部屋では効果を発揮するでしょう。
そして、エコカラットはデザインバリエーションが豊富です。モダン・和風・高級感など様々なスタイルに対応できるため、幅広い家庭で導入することができます。
デメリット
エコカラットは機能性に優れている分、費用が高めです。材料費と施工費を含めると1㎡あたり20,000円を超えることも少なくないため、想定より予算オーバーになるケースがよく見られます。
また、一度施工すると、貼り替えや取り外しが簡単にはできません。接着剤でしっかり固定されるため、模様替えやリフォーム時に「思っていたのと違う」と感じても気軽に変更はできません。
さらに、エコカラットはセラミック素材のため、硬い反面、衝撃に弱いという特徴があります。小さな子どもが硬いおもちゃをぶつけたり、家具を移動した拍子にぶつけたりすると、ひび割れや欠けが発生する可能性も考えられます。
エコカラットを使用する際の注意点
1. 設置場所を慎重に選ぶ
エコカラットの効果を最大限に発揮するためには、まずは設置場所の選定から始まります。例えば、湿気が多すぎる浴室などでは、エコカラットが過剰に湿気を吸収し、効果が発揮されにくくなることがあります。また、直射日光が当たる場所に設置すると、色褪せや劣化が早まる可能性があります。設置場所を選定する際には、部屋の環境や使用目的を考慮することが大切です。
2. 施工面積の確保
エコカラットの調湿効果を実感するためには、部屋の床面積の1/4以上の壁面積に施工することが推奨されています。施工面積が小さい場合、大きなメリットである調湿効果を発揮しにくくなります。湿度の調整を重視する場合は、費用がかさむことも考慮した上で、広範囲への施工を検討しましょう。
3. 施工業者の選定
エコカラットの施工には専門的な知識と技術が必要です。
不適切な施工業者を選んでしまうと、施工不良によるトラブルが発生しやすくなります。例えば、タイルがきちんと接着されていなかったり隙間ができてしまったりすると、見た目が悪くなるだけでなく機能も十分に発揮されません。過去の利用者の口コミや評価を参考にして、エコカラットの施工に適切な業者かどうか見極めましょう。
まとめ
今回は、エコカラットの導入で後悔しないためのポイントや、メリット・デメリットについて解説してきました。
エコカラットは調湿・脱臭効果と高いデザイン性が魅力ですが、使用後に後悔するケースも見られます。後悔した方の例としては、キッチンでは油汚れが染み込みやすい・施工面積が狭いと調湿効果を実感できない・材料費が高く予算を大幅に超えてしまった・カーテンや衣類が表面の凹凸で傷ついてしまった、などが挙げられます。
エコカラットを導入する際には、設置場所や施工面積、施工業者の選定を慎重に行い、機能性と費用対効果を見極めることが大切です。